臨床工学課

   道脇臨床工学課長挨拶 水質管理
   循環器部門 手術室部門
   メンテナンス業務  

臨床工学課長挨拶

道脇臨床工学課長     道脇臨床工学課長

当グループは透析医療のオピニオン・リーダーとして、学会や研究会でさまざまな研究結果や臨床成績を報告しています。臨床工学課では、臨床治験、研究などを担当し、得られた知見を臨床に還元すべく、日々活動を行っています。
また、専門的知識や技術を活かし、透析室や循環器科、手術室業務に携わるとともに、医療機器管理や透析液管理などにも対応しています。
目覚ましい医療技術の進歩や機器の開発に対応し、より高度で安全な医療の提供に努めることは臨床工学技士の使命です。
臨床工学課は「やりがいのある仕事」を通じて、「達成感の共有」ができるプロフェッショナルな集団でありたいと考えています。

水質管理

川島ホスピタルグループの水質管理

 一回の透析で約120L もの量が使用される透析液。この透析液の「清浄度」が安全で快適な透析を行うための要となります。
 近年になり、透析液を専用のフィルタを介し体内へ注入するオンラインHDF や、従来同様の血液透析治療モードであっても透析液を体内へ流入させる可能性が高くなり、より厳格な水質基準が必要となりました。今までは水質管理に明確な基準はなく、各施設の方針で管理を行っていました。しかし、水質管理の重要性から、エンドトキシン(ET) 活性値と生菌数の統一した基準がISO( 国際標準化機構) より定められました。そこで当院ではISO 基準(ISO23500) に基づきバリデーションによって高い清浄度で管理を行っています。

バリデーションとは・・?
 「製造所の構造設備ならびに手順、工程その他の製造管理および品質管理の方法が期待される結果を与えることを検証し、これを文書化すること」と定義されます。
 つまり、当院では、水質管理の手技や工程が、過去のデータや実験によって、安全であると証明でき、文書化したマニュアルがあります。そのマニュアルに基づいて水質管理を行っています。

エンドトキシン(内毒素)とは・・?
 エンドトキシンは細菌の死骸から出てくる毒素です。極微量でもエンドトキシンが血液循環に入ると体内で様々な反応(炎症)を引き起こす要因になります。

 当院では約250 台近いコンソールを使用しており、4 週間に1 回の頻度で水質検査を実施します。測定キットはセンシメディア、メンブレンフィルタ、R2A 培地を使用します。

院内のクリーンベンチで手技を行い、約30 分でエンドトキシンの測定が可能です。

当院の水質基準

ISO 基準値とは・・?
ISO( 国際標準化機構) より次のように共通の水質基準が定められました。

        生菌数      ET活性値
    RO タンク後     100CFU/ml     0.05EU/ml
    供給装置後     100CFU/ml     0.05EU/ml
    末端ETRF 前
   ( オンライン補充液)
    100CFU/ml
    (0.1CFU/ml)
    0.05EU/ml
    (0.001EU/ml)
    末端ETRF 後
   ( オンライン補充液)
    0.1CFU/ml
    (10-6CFU/mL)
    0.001EU/ml
    (0.001EU/ml)

当院ではISO 基準や、臨床工学技士会の基準値よりも厳しく、RO 水から超純水透析液基準( 生菌数:0.1CFU/ml 未満,ET 活性値:0.001EU/ml 未満) を保っています。

超純水透析液基準にすることによって

 透析中の血行動態の安定、透析アミロイド症の進行抑制、貧血の改善、栄養状態の改善、動脈硬化抑制の可能性など、さまざまな臨床効果が期待できます。
 RO 水から超純水透析液基準で管理することによって、フィルタの性能をより発揮でき、ETRF に異常があった際でも、安全性を保つことができます。
 現在、当クループをはじめとするほとんどの施設はCDDS により透析液を供給しており、水質管理は透析業務の心臓部といえます。そのことを常に念頭において業務に携わっています。

循環器部門

 循環器部門では、心臓カテーテル検査及び経皮的冠動脈形成術(PCI)・末梢血管カテーテル治療術
(PPI) を循環器内科医師と中心に看護師、放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士がチーム一丸となり
連携を取りながら業務を行っています。その中における臨床工学技士の最も重要な役割は機器管理であり、24 時間いつでも安全に検査・治療が行えるよう準備しています。下記に主な業務内容を紹介します。

PCI・PPI などの物品管理

道脇臨床工学課長

 PCI・PPI などの治療により多種多様の物品・機器を使用する為、常時院内に在庫していない医療物品・医療機器を使用する際は、メーカーさんと協力し医療機器・物品の手配をしています。

医師のアシスト(清潔野直接介助)及び間接介助

 医師の隣に立ち検査及び治療のアシストを行っています。清潔野業務では、医師が行う手技の介助、造影剤注入器などの医療機器のセッティング、ポリグラフの監視などを行い、円滑に検査・治療が行えるよう努めています。また、検査・治療に使用する物品を術者に渡す間接介助も行っています。

患者様の検査・治療データの入力

 ポリグラフの検査データや、撮影画像及び治療で使用した物品などをCardio Agent レポートに入力しています。入力したデータは次回の検査・治療の参考になります。

Cardio Agent とは・・?
動画観察とレポートの機能を備えた、循環器医師のワークフローをサポートするシステムです。

PCI 時、血管内超音波(IVUS)・OCT イメージングシステムを操作

 カテーテル検査・治療では患者様の急変時に備え、以下の生命維持管理装置を常備しています。それらの保守点検のほか、医師の指示の下、操作・管理を行っています。

人工呼吸器とは・・・?
呼吸状態の悪い患者様に人工呼吸を自動的に行う装置です。

大動脈内バルーンパンピング(IABP)とは・・・?
心筋梗塞などにより心臓の機能が低下している患者様に使用します。IABP により心臓の血管の血流を増加させ心臓を楽にし、全身の循環を保つ装置です。

経皮的心肺補助装置(PCPS)とは・・・?
心臓と肺の役割を代行する生命維持管理装置です。心臓に帰ってくる静脈血を体外で酸素化し動脈血として体内に送る役割があります。

ペースメーカー業務

 ペースメーカー業務では、ペースメーカー植込み手術の立会いに臨床工学技士が携わっています。
またペースメーカー外来では、ペースメーカー植込みをされた患者さんに定期的に外来へ来ていただき異常がないかチェックを行っています。毎週金曜日の午前に外来診察室にて行っています。

医療機器の保守点検

 心臓カテーテル室内にある医療機器(除細動器・体外式ペースメーカ・輸液ポンプ・シリンジポンプなど)が常に安全に作動するか、臨床工学技士は点検を行っています。

除細動器とは・・・?
 心室細動・心室頻拍などの不整脈を正常の脈に戻すための装置です。

体外式ペースメーカとは・・・?
 除脈に対して、一時的に心臓に刺激を与えることにより、心拍数を増加させる装置です。

輸液ポンプ・シリンジポンプとは・・・?
 医薬品を体内に正確に送るための医療機器です。

手術室部門

 医療機器及び治療の高度化に伴い、当院では平成26 年度から手術室専任の臨床工学技士が現在3 名配属されています。手術関連機器等の取扱い・管理体制の構築と、より安全な医療の提供に向けて取組みを開始しています。

 当院の手術室部門では主にバスキュラーアクセス関連や腹膜透析カテーテル関連、泌尿器科手術、手根症候群・ばね指、下肢切断術、腎生検、前立腺生検、腎摘、腎移植などを中心に手術を行っています。
泌尿器科分野では光選択的前立腺蒸散術(PVP)や経尿道的尿管結石破砕術(TUL)や経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-Bt)、経尿道的前立腺切除術(TUR-P)といった手術症例は内視鏡を使用した、低侵襲手術へと変換しています。下記に主な業務内容を紹介します。

手術機器の保守点検及び操作管理

    麻酔器の始業点検

 手術室には麻酔や手術に欠かすことの出来ない多種多様の医療機器があります。決められた始業点検、日常点検、定期点検を計画的に実施し、また機器使用中のトラブル、故障にも迅速に対応し手術が滞る事がなく、安全に行えるよう努めています。また、修理困難な場合はメーカーに依頼をして対応しています。

保守管理機器一覧表

 ●麻酔器
 ●内視鏡外科手術機器
 ●電気手術装置
 ●患者監視装置
 ●輸液ポンプ、シリンジポンプ
 ●除細動器
 ●レーザー手術装置
 ●レーザー治療システム装置
 ●体内式衝撃波結石破砕装置
 ●患者加温装置
 ●超音波診断装置
 ●超音波メス
 ●電動止血装置
 ●手術用顕微鏡
 ●無影灯
 ●手術用ベッド
 ●高圧蒸気滅菌器、EOG 滅菌器
 ●その他 医療機器

手術室看護師との共同業務

 当院では手術室看護師と共同で業務を行っており、術前に収集した情報などをもとに手術に必要な器械・器具の準備、すぐに使用できる器械の把握、器械の使用方法などを熟知し緊急時にも対応できるようにして手術環境を整えています。また、器械出しや外回り業務なども行い、看護師さんが手術室リーダー業務や術前訪問、器械出し、術中看護、看護記録や申し送りなど看護業務に専念出来るよう連携を取っています。

 清潔・不潔の徹底だけでなく、術野の安全を守り、時代に応じた器械・術式の知識、個々の患者に応じた臨機応変な対応に努めながら医師や看護師と共に、安全な施術が行われるようにします。

手術の準備風景

シャント造影検査・経皮的血管拡張術(PTA)業務

シャントとは・・・?
 血液透析を行う際、充分な血液量が確保できるように、腕の動脈と静脈を体内または体外で直接つなぎ合わせた血管の事です。血栓などで腕の血管が狭くなると血液透析に支障をきたします。

シャント造影検査とは・・・?
 シャント部の狭窄音発見時等に血管造影検査を行い、血管内に造影剤を流しエックス線で撮影することにより、血管の状態を観察する検査法のことです。

経皮的血管拡張術(PTA)とは・・・?
 この狭くなった血管に細い管を通し、バルーンカテーテルで血管を内側から拡張することで、血流を確保、再開させる治療法です。

 そのシャント造影検査・PTA において、医師の補助業務を行っており、その際に必要な物品の準備や器械開け、術中看護、術中記録を行っています。また、造影剤アレルギー等で造影剤を使用出来ない患者さんのために血管エコー下でのPTA にも対応出来るようなっています。

 PTA 後は止血介助を行い透析室にて血液透析を行う患者さんの付き添いや申し送りも行っています。
 手術室臨床工学技士は透析室業務も行っており、日頃から透析患者さんのシャント状態を把握でき、手術室業務にフィードバック出来る環境にあります。術中での患者さんや医師とのコミュニケーションなどレスポンスの良い対応が出来るように努めていく事が現在の目標です。

PTA 実地件数

2011年度 2012年度 2013年度 2014年度
307 件 275 件 254 件 312 件

PTA 後の透析室での申し送り風景

腎移植手術時の立会い

 手術室では術式に応じて様々な医療機器が使用されます。臨床工学技士はその手術に立会い、安全に施行できるよう、各装置の準備と設定、術中の調整など臨床支援をしています。

 現在移植の手術には、1名の臨床工学技士が立会っています。主に内視鏡や電気メス、気腹装置などの設定や術中の調整などを行い、外回り業務も行っています。その最中に、先程も言いましたが様々な機器が手術室にあり、コンセントに随時接続されて使用されているので機器の使用が開始される際に、総使用電力量が手術室の電源容量をオーバーし、ブレーカにより手術室への電力供給が遮断されてしまう恐れがないように各電源容量を把握し、アイソレーションモニタ(絶縁監視装置)も常にモニタリングし対応しています。

 移植の手術には、医師を中心に看護師、薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士のチームが一丸となり連携を取りながら安全で確実な手術が受けられるように万全の体制で手術に臨んでいます。

腎移植手術風景

 手術室で使用する医療機器は日々進歩を続け、より高度化・複雑化した機器へと変わってきています。 専任化してまだ間もないですがそんな高度化する医療機器に対応すべく、今後はさらなる業務の拡大を考えています。 私たち臨床工学技士はチーム医療の一員として機器管理や機器のトラブル時対応などを行い、より良い安全で質の高い医療が提供できるようこれからも努めていきます。

メンテナンス業務

 平成19 年4 月に厚生労働省から改正医療法「医療安全関連通知」が出され、医療機器を安全に使用するための指針として医療機関に義務付けられました。近年、医療現場には多くの医療機器が実在しており医療技術の進歩に伴い高度化・複雑化が進んだ機器が必要不可欠となっていますが、整備不良、誤操作による事故が増加傾向にあり、重大な事故を未然に防ぐ上でも安全な治療には適切な保守管理・研修が必要となります。

 川島ホスピタルグループで使用する医療機器の安全管理を図り、患者の安全を確保することを目的とした医療機器安全管理委員会が設置されており、我々臨床工学部では血液浄化業務と兼務で医療機器保守管理業務を行っています。

 川島ホスピタルグループの主たる業務の一つに血液浄化業務があります。その血液浄化業務には透析用監視装置(コンソール)が必須で、川島ホスピタルグループ全体で約300 台のコンソールがあります。

 全台をメンテナンス担当技士が年に1 回の定期点検を実施することにより事故なく安全に血液浄化業務が行えるようにしています。また定期点検以外にも消耗部品の交換や機器の調整も行っています。その他に輸液ポンプ、血液ガス分析装置、人工呼吸器などの医療機器のメンテナンスも実施し、常時使用可能の状態を保っています。

メンテナンス業務
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