内科 対応疾患詳細(甲状腺疾患・内分泌疾患・メタボリックシンドローム詳細)

甲状腺疾患 内分泌疾患 メタボリックシンドローム

甲状腺疾患

甲状腺はノドボトケの下にあり、15~20gの蝶々型の臓器です。甲状腺ホルモン(FT3、FT4)は体の新陳代謝を活発にする作用があり、正常範囲を逸脱すると以下の症状が現れます。TSH(甲状腺刺激ホルモン)はT4の産生を調節するホルモンで、脳下垂体で作られています。

症状 甲状腺中毒症(ホルモン過剰) 甲状腺機能低下症(ホルモン不足)
甲状腺や
のど
甲状腺は大きくなることが多い時に異和感を感じることあり
時に声がかすれる
甲状腺の大きさはさまざまで、稀に違和感や鈍痛あり
声がかすれる
瞼と眼 瞼が腫れぼったい、
眼球が前に出てくることあり
顔がむくんで眼が開きにくい
皮膚・毛髪 汗が多い、痒みがある 肌がカサカサする、髪や眉が薄くなる
心臓や血圧 動悸、心房細動、血圧上昇、心不全 脈が遅い、血圧が低め、心不全
神経系 イライラする、眠れない
手指が震える
無気力、忘れっぽい、眠たい
動作がゆっくりになる
体重 減ってくる(食べていても) 増えてくる(むくみのため)
胃腸 下痢気味、嘔気やムネヤケがある 便秘がち、お腹が張る
その他 血糖が高くなる、肝障害、生理不順
脚がつる、脚に力が入らない
コレステロール値が上がる、
腎障害(クレアチニン値が上がる)
生理不順、無月経、睡眠時無呼吸

 

バセドウ病の治療法

① 抗甲状腺薬(メルカゾールかチウラジール)

甲状腺ホルモンの合成を妨げる薬を内服する方法で、バセドウ病の患者さんに、先ず受けていただく治療です。一般的に1日3錠で開始し、FT3・FT4が正常になると徐々に減らします。効果が現れるまでに3~4週間かかります。0.1~0.5%に重大な副作用(白血球減少症、肝障害)が現れるので、最初の3ヵ月間は2~3週間毎に、その後も定期的に検査をします。多くは2~3年で治療を一旦終了できますが、再発する人は少なくありません。

抗甲状腺薬の
副作用と頻度
症状など 対応
顆粒球減少症
0.1~0.5%
血液中の好中球が500/μl以下に減る
発熱・重症感染症を起こしやすい
服薬中止。隔離入院(感染予防目的)
感染症に対する治療
回復後に甲状腺全摘出手術
重症肝障害
0.1~0.2%
血液検査で肝臓の数値が悪くなる
倦怠感、食欲低下、皮膚の黄染
チウラジール(PTU)で起りやすい
服薬中止。多くは入院治療
回復後に手術治療
多発関節炎
1~2%
あちこちの関節が痛んで腫れる
服用1年以上で起こることもある
服薬中止。鎮痛薬内服
アイソトープ治療か手術治療に変更
MPO関連血管炎
0.5~0.8人/1万人/年
発熱・筋肉痛・腎障害
PTUで起こりやすい
服用1年以上たって起こることが多い
服薬中止。手術治療に変更
血管炎の薬物治療を開始
皮膚・関節・筋など
10~15%
じんま疹、軽い関節痛や筋肉痛
軽い肝障害。服薬早期に起こりやすい
軽度であれば服薬継続し、症状に応じた薬を飲んでいただく

 

② 無機ヨード(ヨウ化カリウム丸)

甲状腺内に蓄えられたホルモンが血液中に出るのを妨げる作用がある薬を内服します。速やかに効き始めますが、長期間は効果が続きません。バセドウ病では、抗甲状腺薬と一緒に内服を開始し、FT4が正常化すれば徐々に減らします。手術の場合は、2週間前から服用していただき、甲状腺内の血流を減らしておきます。

③ アイソトープ内用療法

アイソトープ入りのカプセルを1回内服して、ゆっくりと甲状腺を壊す方法です。半年~1年間は抗甲状腺薬の服用も必要です。徳島赤十字病院放射線科の外来に4回通院して、服用量の決定とアイソトープ内服をしていただきます。数年後に甲状腺ホルモン不足になり、チラージンSを飲んでいただくことが多いです。妊娠中や授乳中の人は出来ない治療です。早期の妊娠を希望の人や18歳未満の人には、お勧めしておりません。

④ 手術治療

徳島市民病院・徳島大学病院・隈病院(神戸)外科に依頼しており、7~10日間の入院が必要です。術後は甲状腺ホルモン剤(チラージンS)を飲んでいただくことが多いです。手術前後の治療は、当院でしております。抗甲状腺薬が飲めない人、定期的に通院できない人や早期の妊娠を希望なさる人にお勧めします。

甲状腺関連検査

血液検査

画像検査

内分泌疾患

副腎や脳下垂体の病気

副腎は、左右の腎臓の頭側に在る5g程度の小さな臓器で、血圧や血糖の調整・脂質にかかわる種々のホルモンを作っています。これらのホルモンの過剰や不足が起こると、下記のような症状が現れます。副腎ホルモン過剰症の症状は、メタボリックシンドロームに似ていますが、副腎の治療により改善します。

主な副腎ホルモン ホルモン過剰の症状 ホルモン不足の症状
コルチゾール 高血糖、コレステロールの上昇、血圧上昇、肥満、丸顔、食欲が増す、うぶ毛が増える、風邪をひきやすい 強い倦怠感、食欲低下、無気力、微熱、血圧低下、血糖が下がる、低ナトリウム血症、意識障害
アルドステロン

高血圧、血糖上昇、
低カリウム血症、ナトリウム高値

筋肉に力が入らない

血圧低下、

血中カリウムが上昇傾向
カテコラミン

高血圧、頭痛、動悸、発汗
高血糖、体重減少傾向

血圧低下、脈が遅い
一部の性ホルモン 当科では診療しておりません

脳下垂体は、脳の基底部にある、エンドウ豆大の臓器で、多くのホルモンを作っています。各ホルモンは、それぞれ特定の臓器(標的器官)の働きを調整しています。下垂体ホルモンの過剰や不足が起こると標的器官がうまく働けなくなって、症状が現れます。

主な脳下垂体ホルモンの名前 標的臓器 標的臓器の働き
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) 副腎皮質 コルチゾール、アルドステロンを作る
甲状腺刺激ホルモン(TSH)

甲状腺

甲状腺ホルモンを作る
成長ホルモン(GH) 骨・筋肉など 体の成長と発達を調整する
肝臓や筋肉での蛋白合成を増やし、筋肉や脂肪細胞のブドウ糖の取り込みを増やす
プロラクチン(PRL) 乳腺 乳汁を作る
黄体形成ホルモン(LH)
卵胞刺激ホルモン(FSH)
卵巣 卵胞を発育させる。 精子を作る
性ホルモンを作る
抗利尿ホルモン(ADH) 腎臓など 体内の水分や塩分のバランスを調整する

副腎・脳下垂体関連の治療

副腎・脳下垂体関連の検査

血液検査

脳下垂体や副腎ホルモンの不足や過剰が疑われる場合に行います。

①ホルモンの基礎値:自然な状態での下垂体や副腎の働きを調べます。朝食抜きで外来に来ていただき、
   なるべく安静の状態で採血しています。
②抑制テスト(ホルモンの分泌を抑える)や負荷テスト(ホルモンの分泌を刺激する)
   下垂体や副腎の働きの不足度や過剰度を調べます。
   テストの種類によっては、3日程度の入院が必要になります。

蓄尿検査

尿に出てくるホルモンを測って、1日の間に脳下垂体や副腎で作っているホルモンの量を調べます。1日の尿を全部溜める必要があります(24時間蓄尿)が、外来で出来る検査です。

画像検査

メタボリックシンドローム

内蔵脂肪型肥満に加えて、「血糖がちょっと高め」「血圧が上がりかけ」「中性脂肪やコレステロール値がちょっと高め」のどれか2つ以上をあわせ持った状態です。糖尿病・高血圧症・脂質異常症に至らなくても動脈硬化が速く進み、心臓病や脳卒中など命にかかわる病気を起こすので、早めの対応が大事です。成人男性の2人に1人、成人女性の5人に1人はメタボリックシンドロームの予備軍と言われています。

メタボリックシンドロームの診断基準
内臓脂肪の蓄積
(右記のいずれか)
腹囲 (立った姿勢で、息を吐き、臍の高さで測る)
・男性 85cm以上    ・女性 90cm以上
内臓脂肪面積(CT検査):男女とも100cm2以上
脂質
(右記の片方または両方)
・中性脂肪:150mg/dl以上
・HDLコレステロール:40mg/dl未満
血圧
(右記の片方または両方)
・最高(収縮期)血圧:130mmHg以上
・最低(拡張期)血圧:85mmHg以上
空腹時血糖 ・110mg/dl以上

メタボリックシンドロームの治療

目標は、体重・血糖・血圧・脂質を全て正常範囲に戻すことです。食事のカロリー制限(標準体重×25キロカロリー未満/日)と塩分制限(6g未満/日)・適切な運動・禁煙・節酒など、生活習慣の改善が基本になっています。それだけで難しい場合は、軽い薬物治療を追加させていただくこともあります。

メタボリックシンドロームの治療目標 薬物治療
体重と腹囲 適正体重(BMI 22程度) または20歳時の体重
(BMI:体重(kg)を身長(m)の二乗で割り算した数値)
腹囲:男性 85cm未満、女性 90cm未満
なし
血圧 診察室血圧:130 / 85mmHg 未満
家庭血圧:125 / 80mmHg未満
 *65歳以上や脳血管疾患がある方は、
 目標を緩めています
ARB(アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬)、
ACE阻害薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)
脂質 中性脂肪:150mg/dl未満(朝食抜きで検査) EPA(イコサペント酸エチル)、
フィブラート系
LDLコレステロール:120mg/dl未満
(狭心症などがある場合は 100mg/dl未満)
エゼチミブ、
スタチン
HDLコレステロール:40mg/dl以上 なし
血糖と
HbA1c
血糖:朝食前 100mg/dl未満、食2時間後140mg/dl未満
HbA1c:5.6%未満(NGSP値)(JDS値では5.2%未満)
α-グルコシダーゼ阻害薬

メタボリックシンドロームの検査

血液検査

コレステロールは食後の採血で評価しています。

血糖や中性脂肪は朝食抜きで検査することがあります。

75gブドウ糖負荷テスト:糖尿病かどうかを調べる検査で、予約制で行っています。 朝食抜きでブドウ糖水を飲用し、30分・60分・120分後に採血させていただきます。

尿検査

尿に蛋白や糖が出ていないかを調べます。

生理学的検査

いずれも外来で、予約制にて行っています。

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