当番幹事挨拶

腎不全チーム医療~高齢者のQOL向上を目指して~

 第19回日本高齢者腎不全研究会を2021年7月10日~7月11日にかけてあわぎんホール(徳島市)で開催いたします。世界各地でパンデミックを起こした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する有効なワクチン接種実施、一定以上の抗体保有率獲得、有効な早期からの治療薬承認などの時期は、現時点では明らかではなく、緊急事態制限が解除されたわが国では、政府および各自治体は、感染状況を見ながら段階的に社会経済活動を再開し、感染拡大の兆候が見られたらその程度に応じた要請を再度行い、医療・検査体制を整備し、新しい日常が定着した社会の構築を目指しており、適切な感染対策を講じた研究会を開催したいと考えております。
 多職種相互乗り入れ型チーム医療により、スタッフ各々が、専門性を前提にして目的と情報を共有し、業務を分担しつつ、お互いに連携・補完し合い、患者の状況に対応した医療とケアを提供することが重要です。
 医療チームは、患者と接する時間が長く、その気持ちをより理解できる看護師と臨床工学技士が医師の参謀的存在となることが重要です。特に、リーダー的存在の看護師と臨床工学技士は、カンファレンスを利用して、患者の生活の質(quality of life: QOL)を向上する役割があります。チームメンバーは、担当医師と看護師と臨床工学技士で構成しますが、可能であればこれら以外の医療従事者(ソーシャルワーカー、栄養士、薬剤師等)および介護従事者(介護福祉士、介護支援専門員等)を加えて、医療・ケアチームとすることが重要です。高齢者は、理解力の低下、検査や治療への強い不安、痛いことはされたくない気持ち、家族への迷惑、経済的負担等により、治療を拒否しやすく、医療チームは、高齢者が拒否しても安易には受け入れずに、その理由を把握して、高齢者が治療を受け入れるように対応することも重要です。
 人生の最終段階では、残された貴重な時間にやりたいことを引き出し、その人らしい日々の実現を支援し、できる限りより良いQOLを実現できるように、医療・ケアチームが目標を共有し、高齢者が望む医療とケアを提供し、全人的苦痛に対しても適切な支援を行うことが重要です。
 今回のテーマを「腎不全チーム医療~高齢者のQOL向上を目指して~」とし、医師と看護師・臨床工学技士、ソーシャルワーカー、栄養士、薬剤師等のコメディカルスタッフが高齢者腎不全の医療とケアについて議論し、QOLがより向上するチーム医療を考える意義深い研究会にしたいと思います。

第19回日本高齢者腎不全研究会
当番幹事 岡田 一義
(社会医療法人川島会 川島病院 副院長)