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臨床工学部

水質管理業務

川島ホスピタルグループの水質管理

 一回の透析で約120L もの量が使用される透析液。この透析液の「清浄度」が安全で快適な透析を行うための要となります。
近年になり、透析液を専用のフィルタを介し体内へ注入するオンラインHDF や、従来同様の血液透析治療モードであっても透析液を体内へ流入させる可能性が高くなり、より厳格な水質基準が必要となりました。今までは水質管理に明確な基準はなく、各施設の方針で管理を行っていました。しかし、水質管理の重要性から、エンドトキシン(ET) 活性値と生菌数の統一した基準がISO( 国際標準化機構) より定められました。そこで当院ではISO 基準(ISO23500) に基づきバリデーションによって高い清浄度で管理を行っています。

バリデーションとは…?

 「製造所の構造設備ならびに手順、工程その他の製造管理および品質管理の方法が期待される結果を与えることを検証し、これを文書化すること」と定義されます。
つまり、当院では、水質管理の手技や工程が、過去のデータや実験によって、安全であると証明でき、文書化したマニュアルがあります。そのマニュアルに基づいて水質管理を行っています。

エンドトキシン(内毒素)とは…?

エンドトキシンは細菌の死骸から出てくる毒素です。極微量でもエンドトキシンが血液循環に入ると体内で様々な反応(炎症)を引き起こす要因になります。

当院では約250 台近いコンソールを使用しており、4 週間に1 回の頻度で水質検査を実施します。測定キットはセンシメディア、メンブレンフィルタ、R2A 培地を使用します。

院内のクリーンベンチで手技を行い、約30 分でエンドトキシンの測定が可能です。

当院の水質基準

ISO 基準値とは…?

ISO( 国際標準化機構) より次のように共通の水質基準が定められました。

生菌数 ET活性値
RO タンク後 生菌数100CFU/ml ET活性値0.05EU/ml
供給装置後 生菌数100CFU/ml ET活性値0.05EU/ml
末端ETRF 前
(オンライン補充液)
生菌数100CFU/ml
(0.1CFU/ml)
ET活性値0.05EU/ml
(0.001EU/ml)
末端ETRF 後
(オンライン補充液)
生菌数0.1CFU/ml
(10-6CFU/mL)
ET活性値0.001EU/ml
(0.001EU/ml)

当院ではISO 基準や、臨床工学技士会の基準値よりも厳しく、RO 水から超純水透析液基準( 生菌数:0.1CFU/ml 未満,ET 活性値:0.001EU/ml 未満) を保っています。

超純水透析液基準にすることによって

 透析中の血行動態の安定、透析アミロイド症の進行抑制、貧血の改善、栄養状態の改善、動脈硬化抑制の可能性など、さまざまな臨床効果が期待できます。
RO 水から超純水透析液基準で管理することによって、フィルタの性能をより発揮でき、ETRF に異常があった際でも、安全性を保つことができます。
現在、当クループをはじめとするほとんどの施設はCDDS により透析液を供給しており、水質管理は透析業務の心臓部といえます。そのことを常に念頭において業務に携わっています。

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