川島病院スタッフブログ
社会医療法人川島会 徳島ヴォルティスオフィシャルスポンサー 徳島インディゴソックスオフィシャルスポンサー
お知らせ
2022/02/18

科学論文雑誌「Molecular Cancer」に掲載されました

当院 消化器内科三好人正が癌領域で世界的権威のある科学論文雑誌「Molecular Cancer」【2021 Impact Factor: 41.444】に掲載されました(2022年2月11日)。
食道癌を早期に発見するための新たなバイオマーカーの開発に関する研究報告です。
 
「A microRNA-based liquid biopsy signature for the early detection of esophageal squamous cell carcinoma: A retrospective, prospective and multicenter study」
(食道癌を早期に検出できる血液中マイクロRNAを用いた診断モデルの開発:多施設後ろ向き・前向き研究)
Miyoshi et al. Mol Cancer. 
 
【研究の概要】
食道癌はあらゆる癌のなかで治療が難しく、予後が悪い癌の一つですが、早期に発見されれば内視鏡的治療で根治が期待できます。しかし現在、血液検査など体の負担の少ない検査で、食道癌を早期に発見できるバイオマーカーはありません。本研究では世界でも食道癌が特に多いアジア・アフリカを含めた多国籍・多施設から収集した約1800の食道癌組織・血液検体と食道癌の遺伝子発現プロファイリングを分析したパブリックビッグデータを用いて解析を行いました。血液中にごく微量に存在するマイクロ RNAと言われるRNAの小さな破片を正確に測定することによって、血液から非常に高い精度で食道癌を検出できる診断モデルの作成に成功しました。さらに、前向き検証試験でも、ステージ1の食道癌を89%の非常に高い確率で検出できることを証明しました。本研究は、微量の血液検査で症状がない段階から食道癌を早期発見できる可能性を示しました。今後、血液検査による食道癌スクリーニングを確立することにより、世界の食道癌診療にパラダイムシフトをもたらす可能性があります。