薬剤部は、調剤業務はもちろんですが、製剤業務の中心静脈栄養(TPN:Total Parenteral Nutrition)混注業務、入院・外来の抗がん剤調製などに加え、入院時の持参薬確認(初回面談)や入院中に薬の説明(服薬指導)や退院時の薬の日数調整(退院時指導)などの病棟活動、医療安全管理、感染対策チーム(ICT:Infection Control Team)、栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)、褥瘡、糖尿病や腎移植などのチーム医療へ参加しています。
外来や入院の糖尿病患者さんへの服薬指導や慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)患者さんや透析患者さんのポリファーマシー対策として処方の見直しを医師へ提案しています。
ポリファーマシーとは、多くの薬を服用する「多剤服用」のことです。
服用する薬の数は60歳ごろから増加する傾向にあり、服用する薬が6種類以上になると、薬が原因で健康上の問題が起こりやすくなります。
多くの薬を飲むと、体内で薬の分解が十分にできなくなることがあります。
また薬を分解する機能は年齢とともに低下するため、飲み始めたころは副作用の心配がなかった薬も、時間がたつと副作用がでることもあります。
患者さんが飲んでいる薬は必要なものもありますが、服用する薬が「多いのでは」と思っている方は薬剤部にご相談ください。
薬学部の学生実習を受け入れ、次世代の薬剤師育成に貢献しています。
以下、薬剤部の業務内容やスタッフ数及び勤務体制について紹介いたします。
医師が診察し、薬による治療が必要な場合には、処方箋が発行されます。薬剤師は、その処方内容(薬の名前、用法用量、飲みあわせなど)を監査し、お薬を調剤しています。疑問点がある場合には必ず医師に連絡し、患者さんが安心して薬を服用・使用できるよう確認しています。
市販製品が存在せず特殊な治療に使われるものは、院内で調製しています。
経口、経腸による栄養補給が困難な患者さんのために、TPNの混合調製を無菌的にクリーンベンチで行っています。
また患者さん一人ひとりに対して、注射薬の取り揃えや、相互作用のチェックをしています。
抗がん剤などは特に患者さん一人ひとりの体表面積や検査値に見合った投与量が適切な日数と投与間隔で処方されているかをチェックしています。
抗がん剤の治療が安全かつ適切に行なわれるために、抗がん剤の調製を閉塞式薬剤移動システムと安全キャビネットで行っています。
薬によっては、血中濃度の有効域と中毒域が接近しているなど、投与時に特に注意する必要がある薬があります。
こういった薬では、薬物血中濃度モニタリング(TDM:Therapeutic Drug Monitoring)を行い、血中濃度に合わせた投与計画を、医師に提案しています。
薬剤師の外来業務は、糖尿病患者に対する外来での服薬指導、インスリンやインクレチン製剤の手技指導、特にインクレチン製剤の効果の聞き取り等を行っています。
またスロイド、免疫抑制剤、多発性嚢胞腎(PKD:Polycystic Kidney Disease)の治療に使われるV2-受容体拮抗剤を内服中の患者さんへの指導も行っています。
2021年10月からは、CKD患者に対して腎保護治療目的で処方されるSGLT-2(sodium glucose cotransporter-2)阻害剤の患者さんへの説明や貧血治療目的で処方される赤血球造血刺激因子製剤(ESA:Erythropoiesis Stimulating Agent)とHIF-PH(Hypoxia Inducible Factor Prolyl Hydroxylase)阻害剤の特徴と違い等の説明を行っています。
2023年3月からは、注射剤の抗がん剤治療を受ける患者さんに、薬剤師が医師の診察前に患者さんと面談し、抗がん剤治療の副作用とその問診、支持療法の処方提案等を行っています。
病院で使用される医薬品の購入、適切な在庫・品質管理を行い、いつでも患者さんへ安心で安全なお薬を供給できる体制を整えています。
医薬品情報管理(DI:Drag Information)業務では、薬についての様々な情報を日常業務に役立て、医師や看護師などの医療スタッフに提供するため、情報を収集し、その情報を分かりやすく整理・保管します。
患者さんや家族と面談し、持参薬、副作用歴、アレルギー歴などを聞いた上で薬の説明(効果、副作用、飲み方、飲み合わせなど)をします。患者さんや家族には安心して治療を受けていただきたいと思っています。
入院時の初回面談から持参薬の鑑別、入院目的、治療方針から得られた情報をもとに薬物療法の問題点を検討し、持参薬の評価や処方提案、薬の管理方法などを医師や看護師と協議しています。
薬の効能・効果や用法・用量、注意事項などを説明したり、薬の効果や副作用の有無をチェックしたりと、入院から退院までの間、患者さん一人ひとりに合った薬物治療ができるように深く関わっています。
退院または転院の際には、患者さんまたはその家族等へ退院後の薬剤の服用等に関して必要な指導を行っています。
病棟には注射薬、内服薬、坐薬、塗り薬、消毒薬などが配備されています。
それらの使用期限、在庫、保管状態を定期的にチェックし、薬の適正使用を推進しています。
病棟カンファレンス、糖尿病カンファレンス、ICT、NST、褥瘡、糖尿病や腎移植チームに参加するなど、医師・看護師・その他のコメディカルとの情報交換を重要に考えています。
病棟で起きた薬の副作用や病棟スタッフからの質問を収集しています。それらの情報はDI担当者によって整理されています。フィードバックが必要と思われる情報は速やかに病棟に伝達されます。
薬は、私たちの病気の治療や予防に欠かせない大切なものです。新しい薬の開発を行う場合、「薬の候補物質」について動物で効果や毒性を調べるだけでなく、人での有効性や安全性を確認する必要があります。人での有効性や安全性について調べる試験を一般に「臨床試験」といいます。その中で、国(厚生労働省)から「薬」として承認を受けるために行う臨床試験のことを「治験」と呼んでいます。治験は、厚生労働省が定めた「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(GCP:Good Clinical Practice)という規則に従って行われます。参加いただいた患者さんの人権及び安全は最大限に尊重され、秘密は守られます。
薬剤師 12名
クラーク 1名
日勤 8:30 ~ 17:00
日曜は当番制で、約3時間業務(主にTPN混注)