腹膜透析(PD:peritoneal dialysis) とは、患者様自身の腹膜を透析膜として血液をきれいにする治療法です。手術によってお腹に挿入したカテーテル(管)から、通常1.5 ~ 2L の透析液をお腹の中(腹腔内)に入れ、1 日3 ~ 5 回程度交換します。液量や回数は患者様の体格、体調、検査データなどによって決定します。1 回の透析液の交換にかかる時間は約30 分です。
透析液の交換は、自宅や職場などでご自分の生活リズムに合わせて行えます。バック交換時間以外は自由に活動することが出来ます。この間も常に透析が行われており、生体腎に近い透析療法と言えます。毎日緩やかに透析を行うため、体にやさしく、高齢の方にも適しています。
腹膜透析では血液透析に比べて食事制限が比較的穏やかです。しかし、長期に治療を続けるには、ある程度の食事管理が必要です。透析液には除水のために透析液中に浸透圧物質としてブドウ糖が入っています。
このブドウ糖はお腹に入れている間に体内に吸収されます。そして、吸収されたブドウ糖はエネルギーとして体内に蓄えられます。透析液から吸収されるブドウ糖由来のカロリー量は1 日に約400Kcal 程度になります。カロリーの摂りすぎは肥満につながりますので、食事から取るカロリー量で調節します。
食事によるカロリー = 総カロリー摂取量 - 吸収されたブドウ糖由来のカロリー
(標準体重と総カロリー摂取量の目安例:身長160cm、体重56.3kg=1700kcal / 日)
腹膜透析では、血液中のクレアチニン(Cr)や尿素などの老廃物を腹膜を介した拡散によってお腹に貯留した透析液に移動させます。一定時間貯留した後に、透析液を交換することで老廃物を体外へ除去します。
腹膜透析では、浸透圧を利用して腹膜の毛細血管から水分を透析液側に移動させます。一定時間貯留した後に、透析液を交換することで、体内の過剰な水分を体外へ除去します。
日中4~ 5 時間時間ごとに交換し、夜間は8 時間くらい貯留し入眠、1 日4回交換が基本です。自宅や職場で交換ができます。
APD は、注液・排液を自動腹膜灌流用装置を用いて夜間睡眠中などに自動的に行う腹膜透析療法です。これにより、昼間のバック交換回数を減少させたりしてQOL(生活の質)の向上にもつながります。また介助者の負担軽減にもつながります。