当院の整形外科の診療は整形外科医専門医かつ日本人工関節学会認定医が行います。 股関節・膝関節の人工関節置換手術に力を入れています。また、人工関節置換術以外にも、高位脛骨骨切り術、関節鏡手術などの関節温存手術も行っています。
変形性股関節症は、股関節の形の異常や老化が原因で、股関節が徐々に変形していく病気です。発症すると関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりして、痛みや動きの制限が起こります。加齢とともに次第に悪化し、いったん変形した股関節を元の状態に戻すことはできません。
金属やポリエチレン、セラミックでできた人工の関節に置き換える手術です。
最小侵襲手術であるALS (Anterolateral Supine Approach、仰臥位前外側アプローチ)で手術を行っています。手術手技は難しいですが、ほとんどの症例で筋肉を完全に温存することが可能です。従来の後方アプローチより術後の筋力の回復が早く、脱臼も少なくできます。
当科ではコンピューターナビゲーションシステムを全ての人工股関節全置換術で用いています。手術前にCTデータから3次元シミュレーションを行い、その計画通りにインプラントを入れることが可能です。海外の大規模登録データでは、人工股関節全置換術でナビゲーションを使うと脱臼による再手術が減ると報告されています。
The Use of Computer Navigation in Total Hip Arthroplasty Is Associated with a Reduced Rate of Revision for Dislocation: A Study of 6,912 Navigated THA Procedures from the Australian Orthopaedic Association National Joint Replacement Registry.
Agarwal S et al. J Bone Joint Surg Am. 2021
ナビゲーションシステムだけでも3次元術前計画は可能ですが,更に万全な体制を期すため,詳細にシュミレーションできるレキシー社のZedHipを徳島県で初めて導入しています。
変形性膝関節症は、変形性股関節症と同様に、関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりして、膝に痛みや変形、動きの制限が起こります。
金属やポリエチレンできた人工の関節に置き換える手術です。
当科での特徴として、全ての人工膝関節全置換術でナビゲーションシステムを使用して正確な手術を行っています。
比較的変形の少ない変形性膝関節に対しては、自分の関節を温存する高位脛骨骨切り術を行っています。将来的に変形性膝関節症が進行してしまったとしても、人工膝関節置換術を受けることができます。年齢が若い方や、スポーツするなど活動性の高い方に行います。
画期的な人工関節の術前術後管理システムを導入しています。四国で初めての導入です。
スマートフォンでご自身の手術を約1ヶ月前~術後1年間まで管理できるアプリケーションです。退院後も術後の毎日行うリハビリの運動を、動画付きで確認できます。
人工関節手術では削った骨の骨髄などから出血しますが、手術中に出た血液は回収し、洗浄して体内に返すシステムを導入しています。
公益社団法人日本整形外科学会では、運動器疾患に対する手術治療に関するビッグデータに基づいたエビデンス構築を目的に大規模運動器疾患レジストリーシステムであるJapanese Orthopaedic Association National Registry (JOANR)を2020年4月より開始しました。JOANRに登録された医療情報を分析することにより医療の質の向上を図り、国民の皆様に対する良質な医療の提供、適正な医療レベルの維持、また、医療経済の最適化を目指します。
川島病院 整形外科もJOANRに参加し、整形外科で手術を行った患者さんの診療情報をデータベースに登録します。これに伴う患者さんへの新たな負担は一切ありません。また、個人情報を守るため、データは匿名化されます。その他、患者さんのプライバシー保護については法令等を遵守します。
データの登録について御了承いただけない場合は、お手数ですが川島病院に登録データ削除申請書を提出してください。その場合でも今後の診療に何ら不利益を被ることはありません。なお、データ登録削除の申出が、既に解析を開始又は結果公表等の後となり、当該措置を講じることが困難な場合もございます。
御理解の上、御協力よろしくお願い申し上げます。
日本整形外科症例レジストリー以外でも川島病院整形外科では今後の整形外科医療の向上のため患者様の様々なデータを分析させて頂く事があります。
患者さんへの直接の侵襲や介入がなく、診療情報などのデータのみを用いて行う研究については、国が定めた倫理指針に基づき必ずしも対象となる患者さんのお一人ずつから直接同意を得るとは限りません。しかし、研究の目的を含めて、研究の実施についての情報を通知または公開し、さらに可能な限り拒否の機会を保障することが必要とされています。このような手法を「オプトアウト」といいます。このような研究への協力を希望されない場合は、お手数ですが川島病院にお知らせ下さい。