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心臓領域の放射線画像検査について

心臓の病気を見つけるための検査として、心電図や心臓超音波検査に加え、腕や太ももの血管にカテーテルを挿入して行う心臓カテーテル検査を思い浮かべる方も多いと思います。当院ではこれらの検査に加え、最新のCT装置・MRI装置を用いてカテーテル検査より体に負担の少ない形で、通常検査のみでは診断が困難な病気も診断できるよう取り組んでいます。

当院での心臓画像検査の特徴として、心臓に関しては、循環器内科専門医+放射線科専門医が読影・診断を行っており、また、同時に撮像した心臓以外の所見(肺、縦隔、上腹部)に関しては、放射線科専門医が読影を行うことでより確かな読影・診断を行っております。

検査を希望される方や、検査についてご不明な点がありましたら当院循環器外来におたずねください。TEL.088-631-0110(代表)

当院でのCT装置について

当院では、フィリップス社製2層検出器搭載256スライスCT「Spectral CT 7500」を2021年9月に全国に先駆けて導入しました。

2層検出器を搭載した装置は従来からありましたが、当院のCT装置は検出器が256列と長い範囲の撮影が一度に出来ることが可能です。さらに撮影スピードがより高速化したことで、撮影時間が短くなり、約7秒の1回の息止めで心臓全体の検査を行うことができます。

さらに2層検出器を用いることで、造影効果がより明瞭に描出できるようになり、心臓CT検査においては、心臓を栄養する血管(冠動脈)だけではなく、心筋に関わる疾患の診断にも有用とされています。

フィリップス社製2層検出器搭載256スライスCT「Spectral CT 7500」 フィリップス社製2層検出器搭載256スライスCT「Spectral CT 7500」

心臓CT検査の概要

心臓CTではカテーテルを使用せず、造影剤を注射することで冠動脈の走行、狭窄評価が可能です。心臓カテーテル検査と比べより低侵襲で、体の負担が少ない検査です。検査は事前準備も含めて約30分程度で終了します。診察状況によっては検査当日の結果説明も可能ですが、詳細は担当の循環器医師にお尋ねください。

また心臓CT検査は、心臓の弁、心筋、心膜のほか、検査目的によっては、心筋疾患、心臓腫瘍、大動脈瘤、大動脈解離、肺血栓塞栓症などの診断にも役立ちます。装置の撮影スピードを生かして、心機能や血流の評価が出来るようになっております。

心臓CT検査の特徴

メリット

デメリット

心臓CTの検査内容

冠動脈評価

心臓CT検査はカテーテル検査に比べて低侵襲の検査となります。狭心症(冠動脈)の診断において、狭窄病変・冠動脈石灰化の検出・プラーク評価が可能です。また、カテーテル検査よりより詳細な解剖学的情報を得ることができます。高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙といった動脈硬化の危険因子や心臓病の家族歴をお持ちで、胸痛の自覚がある方には世界中で行われている検査です。

また、以前の治療で冠動脈にステント留置された方でも、心臓CT検査行うことでステント内再狭窄の評価が可能な場合があります。更にはカテーテル検査と異なり、任意の角度から観察することが可能であり、血管内外の情報も得ることができます。

心臓は拍動する臓器のため、撮像時にブレが生じることがありますが、最新の画像処理により、撮像時のブレを補正することも可能です。

冠動脈CT 画像処理によるブレ補正 × 冠動脈CT 画像処理によるブレ補正
冠動脈CT ステント用画像処理 × 冠動脈CT ステント用画像処理

心筋評価

当院CT装置の2層検出器は、従来のCT装置では困難であった心筋のわずかな造影剤濃度差を明瞭に描出することが出来るようになりました。そのため可視化が困難とされる心筋に傷害の有無に関する診断精度がより向上しております。

当院リハビリテーション室の特徴 × 当院リハビリテーション室の特徴
肺梗塞	 造影剤コントラスト強調処理 × 肺梗塞	 造影剤コントラスト強調処理

当院でのMRI装置について

当院では、2021年8月に最新型のMRI装置フィリップス社製(Ingenia 1.5T Evolution)を導入しました。

以前の装置では、撮像時間が長いため拍動のある心臓の検査には時間を要していました。当院に導入した最新モデルでは、撮影スピードと画像処理スピードの高速化が可能となり、より効率的に情報量の多い心臓MRI検査の実施が可能となりました。

フィリップス社製(Ingenia 1.5T Evolution) フィリップス社製(Ingenia 1.5T Evolution)

心臓MRI検査の概要

1回の心臓MRI検査中にいろいろな撮像方法を組み合わせることで、様々な情報を得ることができます。またMRI検査用の造影剤を用いることでさらに情報量を増やすことも出来ます。1回の検査で心臓や弁の機能・形態学的評価のみならず心筋の浮腫・線維化など組織学的な評価、更には冠動脈・大動脈病変(動脈瘤)の評価も可能です。

心臓MRI検査は心筋梗塞、各種心筋疾患(心臓サルコイドーシス・心臓アミロイドーシスなど特殊な心筋症、急性心筋炎)の診断に特に有用と考えられています。

心臓MRI検査の特徴

メリット

デメリット

心臓MRIの検査内容

心筋評価

心筋の評価・線維化組織学的評価に関しては、以前より心臓MRIは定評がありましたが、装置の性能向上(高速撮像に対応)により、より精密で解像度の高い画像を用いた評価を行えるようになりました。さらには心筋マッピングという最新の撮像方法を用いることで、造影剤を使用せずに心筋性状の評価することが可能となりました。

心臓機能評価 心臓機能評価 心臓機能評価 × 心臓機能評価 心臓機能評価 心臓機能評価
心臓や弁の機能評価 心臓機能評価 心臓機能評価 × 心臓や弁の機能評価 心臓機能評価 心臓機能評価
心筋定量マッピング × 心筋定量マッピング

冠動脈評価

CTでは診断困難な冠動脈高度石灰化症例においても、造影剤を使用せずに冠動脈狭窄を描出することが出来ます。放射線被ばくがより懸念される若年者や腎機能の悪い方でも冠動脈MRAは冠動脈狭窄の評価を可能とします。またMRIの高速化伴って撮像時間も以前より短縮されました。

心臓CTの検査内容 × 心臓CTの検査内容
下肢MRA (造影剤使用無し) 下肢血管評価 心臓機能評価 × 下肢MRA (造影剤使用無し) 下肢血管評価 心臓機能評価